情報確認日:2026-09-10
歩数と歩行ペースの組み合わせと死亡リスクの関連を調べた64,743人の研究を読み解く
歩数と歩くペースの組み合わせによって、追跡中の死亡リスクとの関連が異なりました。少ない歩数でペースが速い組み合わせでも、基準の集団より低いリスクとの関連が見られました。
歩数と歩くペースの組み合わせによって、追跡中の死亡リスクとの関連が異なりました。少ない歩数でペースが速い組み合わせでも、基準の集団より低いリスクとの関連が見られました。
ウォーキングの歩数は気になるけれど、時間や体力の都合で多く歩くのは難しいと感じる人に関係する研究です。歩数という一つの数字だけでなく、どんなペースで歩いているかも研究の対象になっています。
今回の結果は、歩数だけでなく歩くペースとの組み合わせを考える材料として受け止められます。ただし、自分に必要な歩数や速さをこの研究の数字だけで決めることはできません。
2026-09-08に公開された報告です。 英国の参加者の活動量を測り、その後の死亡記録との関連を調べた前向き観察研究です。歩数や速さを人に割り付けた実験ではありません。 全死亡の解析対象は64,743人で、平均年齢61.5歳、女性58%です。心血管疾患による死亡の解析対象は別に70,075人で、二つの解析の人数は同じではありません。 著者はLe Wei、Matthew N Ahmadi、Nicholas A Koemel、Raaj Kishore Biswas、Borja del Pozo Cruz、Emmanuel Stamatakisです。所属・発表主体はシドニー大学、Monash University、Universidad Europea de Madridなどです。
2013〜2015年に手首の活動量計を7日間装着しました。全死亡の追跡期間は中央値8.0年で、1,697人の死亡が記録されました。心血管疾患による死亡は別の解析対象集団で502人でした。 1日の歩数を5,000歩未満、5,000〜7,500歩、7,500〜10,000歩、10,000歩超に分け、歩行ペースとの組み合わせを調べました。ペースには、1日のうち1分あたりの歩数が多い上位30分を選んだ平均値を使っています。30分は連続しているとは限らず、測定した有効日全体でも平均しています。全死亡にはCox比例ハザードモデル、心血管死亡には他の原因の死亡も考慮するFine–Grayモデルを用いました。年齢、性別、教育、社会経済状況、喫煙、飲酒、野菜・果物の摂取、服薬、睡眠などを統計的に考慮しています。全死亡の解析では心血管疾患・がんの既往がある人や、測定後2年以内の死亡などを除外しました。
推定値の不確かさを示す範囲で、個人の変化の範囲ではありません。ここでは「95%信頼区間」と表しています。 追跡中の出来事の起こりやすさを比べた統計値。ここでは「ハザード比」と表しています。 基準は1日5,000歩未満で、上位30分の歩行ペースが分布の下位5%にあたる集団です。このペースはおよそ毎分45歩でした。 1日5,000歩未満で上位30分の平均が毎分80歩の場合、全死亡のハザード比は0.72(95%信頼区間0.54〜0.97)でした。5,000〜7,500歩で毎分60歩の場合は0.70(0.58〜0.86)でした。いずれも同じ基準集団との比較です。 7,500〜10,000歩の集団では、毎分約100歩付近で全死亡のハザード比0.57(95%信頼区間0.47〜0.69)が示されました。今回の解析で低い値が見られた組み合わせであり、個人にとって最適な目標を示したものではありません。 心血管疾患による死亡でも似た関連の形が報告されました。ただし、歩数や速さを変えることで一人ひとりの死亡リスクがこの数値だけ変わるという結果ではありません。
上位30分の歩行ペースは、1日の中で歩数の多い1分間を30個選んで平均した指標です。30分続けて歩いた速さや、1日全体の平均速度ではありません。 ハザード比は追跡中の出来事の起こりやすさを基準集団と比べた数値です。95%信頼区間は推定値の不確かさを表し、一人ひとりの寿命や変化量を示すものではありません。
資金提供:豪州National Health and Medical Research CouncilのフェローシップAPP1194510、APP2040907。資金提供者は研究設計、データ収集・解析、論文作成・発表判断に具体的な役割を持たなかったと記載されています。 利益相反:著者らは利益相反なしと申告しています。
- 観察研究なので、歩数や歩行ペースそのものが死亡リスクの違いを生んだとは断定できません。把握されていない病気の影響で歩き方が違っていた可能性や、測定されていない条件の影響は残ります。 活動量を測ったのは開始時の7日間です。その後の追跡期間を通じて同じ歩き方だったことを確認した研究ではありません。 手首の動きを歩数と取り違えたり、手首があまり動かない歩行を捉え損ねたりする可能性があります。UK Biobankの参加者を調べた結果で、すべての国・年齢・健康状態にそのまま当てはめることはできません。 速いペースの端の部分はデータが少なく、解析方法を変えると曲線の形も変わりました。最も低く見えた一点を全員共通の目標にはできません。 少ない歩数でも速く歩けばよい、という結論ではありません。観察研究なので、自分の歩数や速さを変えたときの寿命の変化は分かりません。