情報確認日:2026-09-09
104人の記録から、喫煙と禁煙・血圧について何が分かる?
同じ人の喫煙期間と短い禁煙期間を比べると、喫煙期間は下の血圧と心拍数が高い項目がありました。上の血圧では、はっきりした差は確認されませんでした。4研究をまとめた短期間の比較です。
同じ人の喫煙期間と短い禁煙期間を比べると、喫煙期間は下の血圧と心拍数が高い項目がありました。上の血圧では、はっきりした差は確認されませんでした。4研究をまとめた短期間の比較です。
たばこを吸っていて、血圧や脈拍が気になる人に関係する研究です。診察室の一度の測定だけでは見えにくい、日常生活中の値を比べています。ただし、中高年の高血圧の人を幅広く調べた結果ではありません。
今回の数字は短い期間の比較として受け止め、自分が禁煙したらどれだけ血圧が変わるかの予測には使わないことが大切です。長く禁煙した後の変化や、個人の治療方針は、この研究だけでは決められません。
2026-09-08に公開された報告です。 同じ人の喫煙期間と禁煙期間を比べた4件のクロスオーバー研究をまとめた系統的レビュー・メタ解析です。抄録の分類は非ランダム比較研究ですが、表1では3研究の期間順序がランダム化されています。長期禁煙と喫煙継続を別の人に割り付けた試験ではありません。 現在喫煙している成人、合計104人。4研究のうち3研究は血圧が正常で平均年齢が30代、残る1研究は平均56歳で降圧薬を使用している高血圧の人が対象です。2研究は男性のみでした。 著者はYuya Akagi(責任著者)、Kimika Arakawa、Atsushi Sakima、Mai Kabayama、Ken Sugimoto、Kazuomi Karioらです。所属・発表主体は大阪大学、国立病院機構九州医療センター、琉球大学、川崎医科大学、自治医科大学などです。
対象研究の公表年は1994年、1999年、2016年、2020年です。禁煙期間は約1日〜1週間。PubMedと医中誌Webを2025年9月まで検索しています。 日常生活中に繰り返し測る24時間の血圧・心拍数の記録を比べました。差の向きは喫煙期間の平均値から禁煙期間の平均値を引いたものです。研究ごとの違いを考慮するランダム効果モデルで平均差を統合しました。研究間分散の推定には制限付き最尤法を使っています。予定していた朝の家庭血圧を比較できる研究はなく、解析は携帯型装置による測定に限られました。
推定値の不確かさを示す範囲で、個人の変化の範囲ではありません。ここでは「95%信頼区間」と表しています。 下の血圧(拡張期血圧)は、喫煙期間のほうが24時間平均で2.67mmHg高く、95%信頼区間は0.72〜4.62mmHgでした。日中は3.17mmHg高く、同1.15〜5.18mmHgでした。夜間は1.00mmHgの差で、同−1.17〜3.17mmHgと、はっきりした差は確認されませんでした。 心拍数は喫煙期間のほうが、24時間平均で6.47回/分(95%信頼区間3.98〜8.96)、日中で7.19回/分(同4.59〜9.79)、夜間で3.58回/分(同0.69〜6.47)高い結果でした。 上の血圧(収縮期血圧)の差は、24時間平均で2.41mmHg(95%信頼区間−0.13〜4.95)、日中で3.47mmHg(同−0.41〜7.36)、夜間で1.38mmHg(同−1.91〜4.68)でした。どの時間帯でも統計的にはっきりした差は確認されませんでした。 ここで示すのは二つの期間の平均の差です。禁煙した一人ひとりの血圧が同じ数値だけ変わるという意味ではありません。
携帯型装置による血圧測定は、日常生活の中で繰り返し血圧を測る方法です。今回の解析は、家庭で朝や夜に自分で測る血圧の比較とは区別されます。 95%信頼区間は、推定した平均差の不確かさを表す範囲です。個人の血圧の正常範囲ではありません。差の範囲にゼロが含まれる項目では、今回の解析で差があるとは言い切れません。
資金提供:日本学術振興会科研費JP26K20750。オープンアクセス費用は大阪大学が提供。 利益相反:Ken Sugimotoは第一三共、Akihiro NomuraはCureAppからの研究資金を申告。Shigeru ShibataはAstraZenecaからの研究資金と、AstraZeneca・第一三共・Bayer・Boehringer Ingelheim・協和キリンからの謝金を申告。他の著者は利益相反なしと申告しています。
- 対象は4研究だけで、年齢・性別・高血圧の有無などによる追加解析はできませんでした。研究間の違いや、公表されやすい結果への偏りも十分には評価できません。 3研究は平均30代の血圧が正常な人が中心で、降圧薬を使用している高血圧の人を含むのは1研究でした。高齢者や治療中の人全体へそのまま当てはめることはできません。 禁煙の確認方法や、食事・身体活動の測定と調整は研究によって異なります。禁煙期間は最長でも1週間で、長期的な変化は分かりません。 電子たばこの使用者を含むのは1研究で、紙巻きたばことの併用者に限られます。加熱式たばこや電子たばこ単独の使用について一般化できる結果ではありません。 禁煙すれば誰でも同じ量だけ血圧が変わるとは言えません。長期禁煙の結果でもなく、上の血圧に明確な差がなかったことを、喫煙が安全という意味にも受け取れません。